殺人鬼と宇宙人とうさぎ。

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ゴースト・スナイパー(2013/ジェフリー・ディーヴァー著)


アメリカ政府を批判していた活動家モレノがバハマで殺害された。2000メートルの距離からの狙撃。まさに神業、“百万ドルの一弾”による暗殺と言えた。直後、科学捜査の天才リンカーン・ライムのもとを地方検事補ローレルが訪れた。モレノ暗殺はアメリカの諜報機関の仕業だという。しかも「テロリスト」とされて消されたモレノは無実だったのだ。ローレルは、この事件を法廷で裁くべく、ライムとアメリア・サックスを特別捜査チームに引き入れる。スナイパーを割り出し、諜報機関の罪を暴け―ライムと仲間たちは動き出す。だが現場は遠く、証拠が収集できない。ライムはバハマへの遠征を決意する。一方、謀略の隠蔽のため暗殺者が次々に証人を抹殺してゆき、ニューヨークで動くアメリアに、そしてバハマのライムにも魔の手が…


キャラクターの印象が二転三転するこまごまとした変化を楽しむのが主で、事件に関する見方が180度変わってビックリ!とか、あの人が犯人だったなんて!などのガツンとくる部分が少なかった。
料理好きで冷徹な犯人も、せっかく魅力的だったのに最後の最後でフツーになってしまったと言うか、今一歩突き放しが足りないと思う。

そして、それは他のキャラに対しても言えるかもしれない。
シリーズ最初の頃は、それこそメインキャラクターですら安全圏ではありえないという緊張感があったし、実際信じられない人が信じられない形で退場してしまうこともあったけど、最近のメインキャラは作者の寵愛を一身に受けていることがうかがえて、どんな危機的状況のさなかにあっても「でも死なないんでしょう?」とちょっと冷めた目で見てしまう…。
やっぱり愛着が湧いてしまうものなんでしょうね。

前作のバーニングワイヤーが凄まじかっただけに、少しパワーに欠けるかなと感じましたが、それは私が政治絡みのネタがあまり得意じゃないからかも。外国の政治ってなんだかしっくりこなくて。
それにライムって政府と戦うキャラではないと思うんですよね。

検事補のローレルも今一つ掴み所がなく感情移入できず、そんな彼女がライム一行の出番を食ってしまっていることにただやきもきさせられただけ。
すべてを仕組んだ真犯人に関しても、意外であること、全く見抜けなかったことは認めるけど、かといってどうでもいい部分をつついてきたなあと感じるのは否めない。あの人が犯人であろうとなかろうとたいした感慨も湧かないというか。

レギュラーキャラは相変わらず魅力的です!
ライムにくどくど叱られながらも末っ子ポジションとしての手腕と魅力をいかんなく発揮しているプラスキーは、どんどんメインキャラとしておいしい役回りを掴みつつありますね。
トムはまたしても漢を見せたし、そんなトムに対してライムが『生まれたときからずっと知っているような気がする友人』とまで思ってた事実には涙が出そうだった。

それに、もちろんサックスも。
並外れた知識人たちの中で、これまでのサックスの役割は歩くこと、探すこと、撃つことが主でした。
チェスで言うならポーンの位置であったように思いますが、今回はスナイパーライフルが取り上げられているだけあって銃の得意なサックスも知識を授ける側に立ち位置を変えています。
これが特に嬉しかったなー。

サックスといえば……ライムの体が徐々にではあるが機能を取り戻し始めている反面、サックスの関節炎が悪化の一途をたどっているのは少なからず嫌な予感がすると共に、この二人はどこまでも一心同体なんだなと感じさせられました(さんざん不穏な空気を漂わせておいてからのあのラストは華麗だった!)。

サックスのカマロに続いて、今回はライムの車椅子が犠牲になっちゃったしね。
ここにも二人の絆というか縁みたいなものを感じられて、気の毒ではあるけど思わずニヤリ。

どんでん返しだけに着眼すると物足りないけど、騙しのテクニックはさすがの一級品でした。

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文鳥式生活のとびら: 入手方法から生活環境、グッズ、遊ばせ方まで。(誠文堂新光社)


これから文鳥を飼いたいという方、すでに飼っている方、両方に役立つ文鳥飼育のポイントやちょっとした50のコツを、全国の文鳥飼いさんたちにアンケート調査! 文鳥飼育のリアルなところを1冊にまとめました。もちろん、かわいい文鳥の写真や文鳥のあるあるネタも満載。写真だけでも楽しめる、文鳥飼育本です。


文鳥はどこでお迎えした?何羽飼い?食事はなにを与えてる?とかのアンケート結果を円グラフにしてずらずら載っけてあるだけで、特に結果を掘り下げた解説とかもあるわけじゃないので初めての飼育書としてはほとんど役に立ちません。
他の不特定多数は文鳥をどういったふうに飼育しているのか、自分の飼育方法は多数派に入っているのかなどを確かめるための本といったところでしょうか…(いかにも日本人的ですね)

本当に文鳥のことを勉強したいなら、もっとちゃんとした飼育書を手に入れましょう。こちらはあくまでも補足的な役割として、3冊目4冊目くらいに買うのがよさそうです。
もしくは写真集として割り切ってしまうとか。写真はどれもとても可愛いです!

あと「ないわ~」と思ったのが文鳥様って呼び方。
確かに敬称付けしたくなるキャラだし個人の本やサイトだったら全然気にならないんですけど、仮にも飼育指南書でそういう表現を用いるのは痛い。

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兎の秘密(2004/佐野 洋・著)


昔ばなしに隠された謎が見事に暴かれる!
「かちかち山」の兎と狸の「妖しい関係」があぶりだす殺人事件の真相。「浦島太郎」が乗った亀は、タイムマシンだった? 「花咲爺」で本当の悪者は誰だったのか? サルカニ合戦を恐れ、さる年の男を拒絶する蟹座の女。一寸法師と内視鏡の深い関係とは――。日本の昔ばなしを斬新な発想で愉しむ異色短編集。


かちかち山、桃太郎、浦島太郎、舌切りすずめ、花咲か爺さんなど、誰もがよく知っている昔話を様々な角度から紐解きつつミステリーと絡めるという一風変わった短編集(ミステリーじゃない話もあります)。
テーマは昔話ですが時代は現代です。
1作目の『兎の秘密』は15年前の殺人事件をめぐる夫婦と一人の男の話だし、次の『桃太郎は意地悪』も不倫関係にある男女がホテルで交わす会話から始まるし。

全体的な印象としては、作者が昔話を読んで思いついたツッコミや下世話な妄想を形にしてみたかっただけ…という感じが。
だからどの話も自己完結型で娯楽としての肉付けが絶対的に不足してる。
こちらの感情とか推理を差し挟む余地のない分、暇つぶしの読み物としてはサラッと読み流せるけど、面白いかどうかという点になると…。

読者とは一線を引いた、どことなくそっけない印象を受ける話ばかりです
座談会形式で進むネタなんかは読者が置いてけぼりになるのは仕方がないとして、その他の話に関してもすでに終わった事件の記録に過ぎなかったり、その上で「オチはないのがオチです」とかやられたりする。

しかもエロスとか色気じゃない、本当にただ下世話なだけの下ネタオンパレードがいかにもおっさんセンスなのがいたたまれない気持ちになる……。

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うさぎの心理がわかる本(大野 瑞絵、鈴木 理恵・著)


同シリーズの『インコの心理がわかる本―セキセイインコとオカメインコを中心にひもとく』が素晴らしかったのでタイトル買いした本ですが、著者が違えば切り込み方や深さに差があることを痛感させられました。
(そもそも冒頭に『うさぎの心理に関する研究はまだまだ発展途上で、この本でも犬猫の研究を元にした記述があります』と断りを入れてあるあたり、出版は時期尚早だったんじゃ…?と思わなくもない)

この本は、ちょっと詳しい飼育本なら当たり前に書いてある事柄に心理的な要素を絡めて言い換えてみたという感じかな。
うさぎには毎日違う野菜を与えましょう→うさぎのために毎日違うメニューを考えてあげることは、うさぎに自分は愛されているのだという自信をもたらし、心を豊かにします。
……みたいな。

うさぎはペットじゃなく家族、そんなのはうさぎを飼っている人なら当たり前のように染み付いているはずの思考で、うさぎに話しかけるのもご機嫌をうかがうのも「そうしなさい」なんて言われるまでもないはず。
「そうだよね~」と確認できる事はたくさんあっても、新たな発見をもたらしてくれる本ではありませんでした。

うさぎがどんなに自己主張が強くてわがままで繊細で感情豊かな生き物かなんて、長年の飼い主さんなら今更教えられなくったって経験から知ってますよね。
そもそもうさぎって裏表がなくて、まっすぐで、情熱的な生き物だから、数年も一緒に暮らしていたら大体のことは通じ合っちゃうし。

だからこの本は、今「え、そうなの!?」と驚いたあなた、あなたにこそおすすめしたい本です。
これからうさぎを飼う人や、うさぎに興味がある人だったらきっとうさぎの意外な生態に笑っちゃうはず。

そしてうさぎと暮らし初めて間もない新人飼い主さんにもおすすめしたい。
うさぎの気持ちがわからない……もしかして私ってうさぎに嫌われてる?そんな不安に襲われたときにこの本を開けばほっとするだけでなく、ますますうさぎがいとおしくなること間違いなし。

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エヌ氏の遊園地(1985/星新一・著)


31編のショートショートが収録されています。

人質』は強盗犯が子供を盾にして警察を振りきろうとする話で、犯人の芸人歴と露出がどれ程のものかにもよるけど調べればすぐに足がつきそう。

工場の経営に行き詰まったエヌ氏のもとに、不正に火災保険金を手に入れる方法を持ち込んできたセールスマン。エヌ氏はさっそく契約を交わすも案の定……な『波状攻撃』。行くところまで行ったらなにが出てくるのか気になる。

少年による損傷事件の裁判を傍聴したエヌ氏がその判決に陰謀めいたものを感じとる『危険な年代』はタイトルを利用したどんでん返しが鮮やか。

金の儲かる薬を開発したエヌ博士の研究所に強盗が押し入った。強盗は博士が苦心して作り上げた薬を飲み干してしまい……。強盗が純真すぎて笑う『秘薬と用法

商売がたきを絶対に足がつかない方法で始末してくれるという女とエヌ氏を巡る『殺し屋ですのよ』。このオチには驚くやら感心するやらでいちばん初めに読んだときから忘れられない話です。

偶然にも発明した人工の幽霊を使って、金儲けをたくらむ男とその甥っ子を書いた『うらめしや』。二人はさっそく研究室を改装して本格的なお化け屋敷を作り上げた。外には噂を聞きつけた人々の長蛇の列、準備は万端と思われたが……幽霊がかわいいオチ。

夢の中の部屋に自分が欲しいものが次々現れるという『欲望の城』はバッドエンドが回避不可能なだけに怖すぎる。
私なら手芸用品で窒息死が一番ありそう。
欲しいと思ったものならなんでも(生き物でも)出てくるというならもっとすごい惨劇がきっと……。猫にうもれて圧死とか小鳥まんじゅうで熱死とか。

エヌ氏が古本屋で買ってきた一冊の本。いかにも怪しげなその本には魔法を起こすための手ほどきが綴られており、エヌ氏はさっそく必要な道具を集めに出かける。そんな『よごれている本』。
捧げ物の質を求めるのはごもっともだけど、ラテン語が完璧に読み書きできる知性をもち、そのうえ好奇心と行動力を備えた上物だけを狙うのはあまりにも非効率なような……
特にラテン語なんて年月が経てば経つほど習得者が減っていくばかりなんだから。次に呼び出されるのは何年、何十年後?

二人の泥棒が逃げ込んだとある列車での話、『逃走の道』。
深夜のレールを超特急で駆け抜ける車内のその異様な光景を想像すると寒気が走る。そして列車はもっと恐ろしい終焉に向けて走り続ける…

クリスマス・イブの出来事』。クリスマスに町に降り立ったサンタクロースを題材とした話には他に『ある夜の物語』がありますが、こちらは世知辛い話。

江戸の幽霊から電話がかかってくる『依頼』。
ぐれた科学者もどんどんこの世を去っているいま、もはや霊の世界は人間の世界より進歩しているという設定に深く納得させられた。
それにしても、いくら偽金とは言っても江戸時代に作られたものならそれはそれで価値がありそうな気も。

飛行機の墜落事故に巻き込まれる夢を幾度となく見てきたエヌ氏。夢のお告げと同じ13日の金曜日、彼は上司から出張の同行を頼まれた。それには飛行機に乗らなければならず……。
夢と対策』。ここまでくると、地下にこもったとしても安全だとは思えない……ファイナルデスティネーション的に考えて。

夕ぐれの車』は二人の男が資産家の子供の誘拐を企てる犯罪もの……と思いきや全く予期しない方向へと話が転がっていく面白い内容。スカッとするわけでも感動するわけでもないけど、不思議な余韻が残る。

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かぼちゃの馬車(1983/星新一・著)


28編のショートショートが収録されています。

なるほど』はとある家に押し入り、家財を壊してまわったあげく火まで放った犯人が、裁判所で「自分は宇宙人である」と証言したために世間が混乱する話。このオチにはまさになるほどと唸った。

とある老人が死に、通夜のあと生き返る『厳粛な儀式』。友人、淡々としすぎ。ブラックユーモアが好きです。

外見
のちのレポゼッション・メンである。

いい話かと思わせておいてゾワッとさせてくれる『』。植物は人間に利用されているのではなく、人間を利用して繁栄しているのだという説があるけどまったくその通り。

自分の家に強盗に入る計画を立てた泥棒と、それを知らない四人の仲間の行く末を書いた『七人の犯罪者』。
はた迷惑な負のスパイラル。この制度は辺りが犯罪者だらけになりそう。

完璧な個人識別装置をめぐる話、『確認』。
『番号をどうぞ』とちょっと似てるかな。オチは違うけど。

会員同士の繋がりを瞬時に探しだして話題のきっかけを提供してくれるという『ナンバー・クラブ』。確かに便利だけど、そんな中毒になるほどのもの!?
「この間ギリシャに行ったよ」
「ふうん。ぼくは行ったことないな」
から話題を展開できないのは明らかな本人の怠惰を感じる。同じ話題を持つもの同士でしか喋りたくなくて、努力を放り出してるみたいで寂しいですね。
利便性を追求した機械が人と人との間に割り込んだ結果、人間本来の思考力が衰えるという点で『確認』と通じる部分がある。

うってかわって脱力系オチの『若返り』は分かってても笑っちゃう。

二ヶ所を一度にどんでん返す、華麗な匠の技が光る『処刑場』はすかっとする読後感。

質問と指示』は多額の借金を抱えた不運な男のもとへ妖精がやって来る話。ところがこの妖精、自分が何をつかさどる存在なのか自分でもわからないと言います。
これじゃ何を頼めばいいのかと男はこの妖精を大いにもて余してしまうわけだけど、きっと私も同じ末路を辿るだろうな…。
私も男と同じように、質問ばかりを繰り返してしまいそう。ここでびしっと行動できる人だったら最初から妖精なんかいなくてもうまく生きていけるんだろう。

最後の台詞にびっくりした『悪魔の椅子』。星さんがここまでストレートな物言いをするのは珍しい……!?

治療後の経過
のちのSTAP細胞である。

憐れさを誘うほど醜い女がとある美的変化サービスを受ける『かぼちゃの馬車
変身前の彼女をシンデレラでもガラスの靴でもネズミでさえなく、かぼちゃに例えるところが容赦ない。

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運命のボタン(リチャード・マシスン著)


・運命のボタン

ある日ノーマとアーサー夫妻のもとに届いた質素な箱。送り主の紳士は、その箱のボタンを押すと世界のどこかの見知らぬ誰かが死に、報酬としてボタンを押した人には5万ドルが支払われるのだと説明した。その日からノーマは箱の事しか考えられなくなり……

同名の映画の原作ですが、大まかな設定以外は別物。
突き放したような淡々とした筆致は人物の心を読ませない。ノーマとアーサーのパーソナリティを掴ませない。そしてそのことこそが、オチに力を与えているのです。

・針

憎きテレーゼを亡きものにするために、ミリセントはブードゥーの呪いを実践することにした。彼女はテレーゼの切った爪と毛髪を集めて人形に仕込んだ。そしてとうとう、人形の心臓に針を刺した――

大好物のどんでん返し系の話。
ミリセントは自分とテレーゼの本当の関係に気づいてたのかな……?
呪いは精神にではなく肉体に直接及ぶのだと言う話。

・チャンネル・ゼロ

1954年1月、一人の少年の調書が取られた。レコーダーに向かって少年は昨晩の出来事を語り始める。不安に震え、言葉をつまらせながら……

レオが踏みつけた『油みたいにぬるぬるした、温かいグリスみたいなもの』が血だとしたら、両親は少なくとも一時間前には死んでいたという事実と相反する。
でもレオはそれを血だとは明言してないから、もしかしたら何か別の液体なのかもしれない…!?
なんて、隅々まで想像を掻き立てられるホラー小説でした。

読者が調書の録音されたテープを再生して聞いているという設定上、地の文なしで進む話なのですが、それでも自然と恐ろしい情景が頭に浮かんでくるから不思議。
これが発表された1951年はテレビがまだそれほど一般に普及していなかったことを念頭に読むと、よりうすら寒い感覚を味わえるかと思います。

戸口に立つ少女

ある日、彼女が夕食をつくっていると、ドアにかすかなノックの音がした。表には白い絹のドレス姿の少女が一人。少女はにっこりと微笑むと、尋ねた。「おばちゃまの家の子と遊んでいいですか?」それが“死”のはじまりだった――

ゆっくりと、でも確実に忍び寄る“嫌な予感”がいい。
それがとうとう形を成した瞬間はカタルシスを覚えるほど。
ところで、この話の邦題は『戸口に立つ少女』ですが原題は『戸口を叩く少女(Little Girl Knocking on My Door)』です。
かたやなにかが起こりそうな予感をさせ、かたやすでに起こっている…日本人とアメリカ人の恐怖を感じるポイントの微妙なずれを実感しませんか?

子犬

シングルマザーのサラがこの世の何より溺愛しているもの、それは息子のデイヴィー。デイヴィーは泣き虫で、甘えん坊で、繊細ないとおしい男の子だった。そんなある晩のこと、サラのアパートに白い子犬が迷い込んできて……

この本で一番胸糞悪い話。
後味の悪いオチだからってのももちろんあるけど、単純にデイヴィーがぐずぐず言ってばかりのやかましいガキで、サラが所有欲でどろどろの粘着女だからというのが大きい。
そんなほのめかしはどこにもないのに、近親相姦の気持ち悪さを感じる。

サラが子犬を飼うのをかたくなに拒み続けたのには、経済力以外の理由があると思う。たとえばデイヴィーを他の誰かに取られるのが気に食わないから、とか。
あるいはサラにとってはデイヴィーこそが自分のかわいい愛玩動物だから、他のペットなんて目障りなだけだったのかもしれない(そりゃ一度人間を支配することを覚えちゃったら、もう他の動物なんて興味持てないよね)。
親子が最終的にどうなったのか不明なまま終わるだけに、子犬の正体についてさまざまな解釈ができるのが面白い。

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エイリアン 虚空の影(ティム・レボン著)


宇宙貨物船ノストロモ号の惨劇から37年……。鉱石採掘船マリオン号は、地球からはるかに離れた惑星LIV178の上空で軌道を回っていた。ある日、輸送艇サムソン号とデリラ号が、惑星からマリオン号へと緊急発進する。デリラ号では、座席に縛り付けられた鉱夫たちの胸が内側から突き破られ、異様な生物が現れて人間を襲う。パニックに陥った艇はマリオン号に激突、母船は甚大な被害を受けた上に、軌道から外れて徐々に落下していく。大気圏に達して燃えつきるまでの推定期間は約3ヶ月。一方サムソン号は自動操縦で到着するが、乗組員は全員死亡、船内に隔離された4匹の生物は急成長を遂げる。マリオン号の生存者たちと謎の生物の間でにらみ合いが続き、有効な脱出計画も見出せないまま、大気圏まであと数日となった頃、一艘の救命艇が漂着する。中にいたのは、冷凍睡眠中のひとりの女性と一匹の猫。これまでの出来事は、新たな“悪夢”の序章にすぎなかった……。


いろんな心配をよそにストンとまとまった良作でした。
なんとなく、「作者が煮詰めたいところはもっと他にあったのかもしれない」…という思いがよぎったりもしましたが…(特に後半)。
商業の限界と作者の希望の間に齟齬があったのかな…ここは本当はこういう風にしたかったんだけど妥協したんだろうな…とか、いや全く根拠はないんですけど!そう感じられる部分が無くもない。
でもそのおかげでコアなファンじゃなくても十分楽しめるし、オリジナルなSF物語としても読める仕上がりになってると思う。

ゼノモーフ好きとしては彼女ら(彼ら?)の外見の描写がもっとねちっこく詳しい方がハァハァできたのですが、そこは想像におまかせということなのかとてもあっさり。
私はウォーリアー系を想像しながら読んでました。

対決シーンもやや薄味です。
あえて細分化するなら2や4のファンには物足りなくて、1や3のファンならうんうんって頷けるかもしれない。

そんな中でなによりの収穫は成長途中の女王陛下が拝める点!
わりかりしサラッと流された感ありますがそれでもちび女王陛下のセクシーキュートっぷりは十分伝わってきて大興奮でした。
すぐに倒されてしまうのは……喧嘩を売った相手がリプリーさんだったのが悪かった。これは仕方ない。

この流れで誰かエイリアン4のその後とか書いてくれないかな?

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リアル・スティール(リチャード・マシスン著)


表題作を含めた10編が収録された短編集。

リアル・スティール

人間同士のボクシングが禁止された近未来。元ボクサーのケリーはロボット・ボクサーの『マクソ』のマネージャーとして生きていたが、金もなければ運にも見放されていた。彼はカンザスで執り行われる試合に起死回生をかけていたが、当日になってマクソが故障してしまう。追い詰められたケリーが選んだ手段は……

ヒュー・ジャックマンが出演している映画の原作となったお話。私は未視聴ですがこっからどうやって話を広げたんだろう…。
信念を持ち続けることは人を強くする。それは確かだけど、でもたまにはそれに巻き込まれる周りの人間のことも顧みるべきではないかな、と部外者の私は思ったりして。


予約客のみ

いつもとぴったり同じ時刻、ミスター・パングボーンは床屋にやって来た。店主のワイリーは客の冴えない顔にすぐさま気づいたが、事実パングボーンは体の不調をいくつも抱えていた……

ワイリー氏が床屋を始めたのは手っ取り早く目的を達成するためなのか、それとも目的の方があとからついてきたのか、気になるところ。


指文字

「わたし」はバスで二人の女と乗り合わせた。片方は目にも止まらぬ早さの手話でもう片方にしきりに語りかけている。聞き手の痩せた女は無表情に無関心に頷くだけで、そのコントラストが「わたし」の好奇心をかきたてた。


両手は開き、すぼまり、数瞬のうちに十何種もの異なるかたちをとる。はりつめた手文字を次々と重ね、死のような沈黙の独白を織りあげてゆく。

この表現大好き。
この作品の隅から隅まで立ち込めた粘りつくような独特の不快感は他に類を見ない。
痩せた女の内に潜む際限ないストレスの不快感や重苦しさを追体験させられ、救いのないまま終わる点がなんとも後味悪く……。


秘密

キャスリンの婚約者ジェラルドは裕福な家庭の出。彼の実家の夕食にはじめて呼ばれたキャスリンは、申し分のない料理が並べられたテーブルの前で息詰まるような思いをもて余していた。それは屋敷の豪勢さに気圧されたからではない。屋敷の異様さに圧迫されているのだ。はじめて見る怯えたジェラルドの様子が彼女をますます萎縮させる。やがて彼は自分の家と血筋にまつわる逸話を話始めるのだが……

オカルト色満開のホラーかと思いきや(私にとっては)脱力オチ。日本人には分かりにくいオチのため、最後に注釈がついています。


おま★★

交差点のど真ん中に突如出現した球体のそれ。金属でできたその装置から出てきたのは一人の男で、彼は1954年の過去からやって来た教授だと名乗った。が、問題は彼自身ではない。彼がタイムマシンに積んできた品々こそが町中を震撼させる騒動の引き金を引いたのだ。その品々に居合わせた人々は憤慨し、嫌悪し、悲鳴を漏らし、顔を覆い隠し、気絶した。「恥知らずの変態野郎!」そう罵られた教授はとうとう留置所に放り込まれるはめになり……

このバカバカしさと力技にはもう笑うしかない。
ただの食事シーンをこんなに後ろめたく感じたのは初めてです。


最後の仕上げ

自分の会社の従業員であるチャペルは、ホリスターにはないものをすべて持っていた。若さ、美貌、物腰のよさ、そして美しい妻。嫉妬にかられたホリスターはその夜、とうとうチャペル殺害に成功するのだが……

『おま★★』とはまた違った力技によるオチ付け。
もうひとひねりあってもよかったかなーと思う。映像映えはしそう。

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うちのうさ―うさぎあるあるフォトエッセイ(うさぎの時間編集部 )


うさぎとの生活は、決して「かわいい」ばかりじゃありません。飼い主はうさぎのツンデレな態度に日々振り回されるのです。むしろ振り回されるのが心地いい、すばらしいうさぎあるあるの世界。


・うさぎが大人しいと言い出した人に反省をうながしたい
・携帯で「う」と入力すると真っ先に「うさぎ」と予測変換される
・鞄の中に何故か牧草が入っていたことがある
・次の日にはうさぎのウンコが入っていた
・野菜が目に入ると、うさぎが食べられるものかどうか瞬時に判断する

・かわいい顔して、常に上から目線
・自分がかわいいということを知っている
・初めて見たものにはとりあえず匂い付け
・携帯電話のコードは噛むためにある

…ある。(断言)

うさぎの耳がかわいいだの鼻がかわいいだの、そんな陳腐な視線を一切排除した、うさぎマニアによるうさぎマニアのための本です。
特にうさぎのウンコまで愛おしいという感覚は、まさにうさぎ飼いにしかわからないものではないでしょうか?
うさぎをよく知らない人からすると「えー!?うさぎってそうなんだ!?」と驚くであろう行動や特性もばっちり押さえられていて、マニア以外も楽しめる作り。

うさぎを飼っている人はもちろん、飼っていない人、飼いたい人、好きな相手がうさぎを飼っているという人にもオススメです。
特にこれから飼いたいと思っている人は飼育本一式と一緒にこちらも揃えておくといいかも。
ただ、こちらは飼育本とは違って定期的に読み返すものでもないので、それを考えると価格がちょっと高いような…

『うさぎあるある集』であると同時に『うさ飼いあるある集』でもあるこの本は、仲良くなりたい相手に自己紹介代わりにそっと差し出す本としても役立つかもしれません。

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