7月 21 2013

よとぎばなし3

不完全さを持ち寄れば
世界の終焉はオーロラとともに
愚かにも邂逅
穏やかに朽ちる
こんなに苦しいなら永遠なんていらなかった
何も失わずに大人になる事はできない
明日なんて来なければいいのに
優しい言葉が出てこない
その憎しみだけが、私を支える全てだと言うのならば
哀れみのナイフ

名前を無くした夜の為の挽歌
鐘の音で終わらせて
優しさに手枷
ほら、もう間に合わない。
泥水をすする
終わりなんてないと、そう言って
濁った声で囁いて。
リリスは嗤う、私のために
ああわたしが、享楽に耽る人形であれたなら。
フシギな世界の気狂い時計。針はどっちにまわってる?時間はどこに向かってる?

心臓を縫う糸は、蘇生する躯を貫き縫いとめ愛撫する。そして今日も、静かなる跫音が響く
The Seducing Woods
吸血鬼と殺人鬼
引き裂く劣情
泥に濡れた赤い靴
不完全に陶酔
屍に献花
骨が軋む
花散る、そして、残ったものは
鋼の獣は笑わない

錆びついた靴
ぎこちなくてもまだ踊ってる
泳ぎ方ももう忘れた
もう帰れないと誰かが囁く
秘めやかな傷
うぐいす一羽、冬に相果つ
黒でいられるはずだった
荊の牢獄
唄わないラジオ

※邂逅……思いがけず出会うこと
※The Seducing Woods……『迷子の森』。誘い込まれたあと、悪い事が待ち受けているニュアンスを持つ。
※相果つ(あひはつ)……死ぬこと


7月 19 2013

よとぎばなし2

地下室の夜空
嘘の境界線
届くことのない手紙
躯を抉る月光
閉ざされた瞼の裏側で
名前をなくした夜の話
きみがいない楽園
百年の眠り
夜に潜むタナトス
昨日も明日も無くす君の抜け殻

鳥籠の中のアンビバレント
色褪せた体温
薔薇色の灰
夜を焦がす体温
砂時計と夜の瀬
夜に生きられぬ花
いつか孤独を殺す猫
ティーカップに沈む涙
一年周期の悪夢
目隠しの夜

懐疑的な指先
二度とは戻らない過去に縋る
壊れた時計が見る夢
明日には忘れてしまう約束だとしても
縛り付けた願い
逆さまの楽園
犠牲の羊を撃ち殺す
見破れない嘘
9月に私は死んだ。
嫉妬の狼、怠惰の兎

世界中のなによりも退屈を厭う
とある賢者の死
鈍色の花を摘み取る
その日、わたしの心臓は食べられた。
犠牲の羊
象牙色の嘲笑
空の色など知りたくもない
消えた死体たち
楽園に届かない
箱庭でしか咲けない花のように

錆びた目蓋は瞬かない
果樹園と罪人
宙に消えた声はもはや誰にも届かない
楽観的な考えに縋り付く
おごそかなエゴ
死せる町の子守唄
影をなくしたあの子
青空で溺死


7月 19 2013

よとぎばなし1

狩人の嘘
終わりしか見えずに
がんじがらめの自由
ありもしない来世で逢いましょう
春は朽ちる
交わせない約束
爪先だけ踏み入れた悪夢
歪んだ庭園の向こう側
引き裂かれた夜空の隙間
今も色褪せた夢の中で生きる

同じ季節を見ていると信じていた
聖者の懺悔
僕を憎んでほしいと願うけれど
私ならもっと上手に裏切ってあげられるのに
きみは愛を歌わない
夜を焦がす体温に、今宵も私はひとりで踊る
虚ろな夢に沈むわたしを、もう一度掬い上げて
アンティークチェアに腰掛けて、撥条の軋む夜に死せる夜
透明な羽を畳む蝶が、白い指で引き裂かれた夜の奥で踊り続ける

夢の籠に横たわる荊姫は、もう明日を知る事もないのでしょう
日ごとに生まれ、夜ごとに朽ちゆく白と黒
セピア色の夢の中で、わたしの目蓋は開かず、今も尚色褪せたあの時のまま
閉ざされた目蓋の裏で、わたしたちは同じ祈りを孕む
柔らかな窓辺、君がいない、君がいない、君がいない。
白い陶磁器の底に落ちるのは涙か、甘い毒か
悲しみがたちまち東の空を覆い尽くした
取り決められた死
私は愛する者を二度殺す
春でもなく夏でもないその日、私は死んだ

かくも短い永遠
臆病者の末路
鉛色の空が肺を押し潰した
利己的な運命
破壊者の憂鬱
砕け散る虹
共鳴する蕾
ひとりぼっちの怪物
空はとうに色褪せた

どうか私を食べ尽くして
それは傷口に舌を抉じ入れるような
焼け爛れた言葉
昨日を諦める僕を許して
二度とは口にできない言葉
心臓を縫う糸
暖かな骨
放し飼いの快楽
閉ざされた地下室
地下室の繭